千葉・津田沼・習志野地域の動物病院グループ スマイルどうぶつ病院

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ジアルジア感染症2018.07.16

去勢手術のためにお預かりしていたアメリカンコッカースパニエルの男の子。手術の前の検査を終えてケージの中で待機していたところ、突然、柔らかいウンチをしてしまいました。

心配になったので検便をさせていただくと、便のなかを動き回る小さな虫を顕微鏡で確認できました。


どうやら軟便の原因はジアルジアと呼ばれる原虫(微生物の一種)の感染症のようです。

飼い主様にお話を伺うと、実は以前から柔らかいウンチに悩まされていたとのこと。
虫を落とすためのお薬を飲んでもらったところ、便の状態はすっかり良くなりました。


ジアルジア原虫には休眠状態の嚢胞(シスト)と、活動状態の栄養体(トロフォゾイト)と呼ばれる状態があります。
そのうち、犬や猫の便に排出されるシストは環境中で長期間生存します。これを水や食事を介して経口的に摂取することで感染してしまいます。

健康な動物であればほとんど症状を示さないのですが、子犬や子猫などの免疫の弱い動物や、多頭飼育している動物などで下痢の症状を引き起こすことがあります。

治療にはメトロニダゾールと呼ばれる、原虫を落とすためのお薬を飲ませます。
しかし、この薬で良くならない場合もある上に、治療に成功したとしても便で汚染された環境から再感染してしまうことがあります。
そこで、再感染や、一緒に生活している他の動物に伝染しないよう、飲み水は新鮮なものを与えたり、ケージやトイレなどの生活環境の消毒や、下痢をしている犬や猫を隔離することも重要になります。

診断は主に糞便中のジアルジア原虫を顕微鏡で観察することで行います。
固形の便に排出されるシストは見つけるのが非常に難しいため、下痢便の中で動き回るトロフォゾイトを検出することで診断することが多いのですが、これは体外に出るとすぐに動かなくなってしまい、見つけることが困難になります。
そこで、検査には新鮮な下痢便(30分以内のもの)を使用する必要があります。
また、便の中のジアルジア抗原を検出する、検査キットを使う方法もあります。

新しく家族に迎えたわんちゃん、ねこちゃんの下痢でお悩みの飼い主様。もしかしたらお腹の中に寄生虫がいるかもしれませんのでご相談ください。病院を受診される際には、新鮮な便をお持ちいただけると、診断の助けになります。
また、ジアルジアは人間にも感染する可能性のある寄生虫です。便を捨てるときはご注意ください。

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