今年も残すところ、あと1ヵ月。季節の変わり目で寒暖差が激しく感じます。
10月から健康診断キャンペーンを実施していますが、健康診断の際によく見つかるのが『しこり(腫瘤)』です。
腫瘤は、年齢・性別などを問わず発生し、発生場所も皮膚、乳腺、歯ぐき、お腹の中、精巣など様々です。
オーナーの方は、皮膚のしこりを発見しやすいと思います。
『しこり』=『腫瘍』というイメージがあると思いますが、実際にはすべてが腫瘍というわけではありません。腫瘍以外では、膿や血液などの貯留、炎症による腫れ、過形成(正常な細胞によるしこり)などがあります。
今回は『皮膚の腫瘤の診察手順』について簡単にお話をしていきます。
まず、問診・視診・触診などにより
1.動物種(犬・猫)、品種、年齢、性別(避妊/去勢の有無)といったプロフィール
2.動物の一般状態
3.しこりの発生部位と発症時期(気づいた時期)
4.大きさ・硬さ・外観 など
を確認します。
この時点で診断できる場合もありますが(猫の咬傷、発情に伴う乳腺腫脹など)、大抵は次の検査である『細胞診』に進みます。
細胞診とは、腫瘤の中にどのような細胞や液体があるかを確認する検査です。
1.腫瘤に細い針を刺して、細胞や液体を採取する
2.針の中に入った細胞や液体をスライドガラスに擦り付ける
3.染色をして顕微鏡で観察する
という手順で行い、皮膚の腫瘤であれば麻酔なしで実施できます。
(動物の状態や発生部位により鎮静が必要な場合もあります)
この検査で、腫瘤が『腫瘍』なのか『腫瘍ではない』のか(もしくはどちらの可能性が高いのか)を判断し、その結果次第で、手術による切除/追加検査の実施/経過観察 などの方針を決定します。
皮膚のしこりを含め、動物の異常に最初に気づくのは(獣医師ではなく)オーナーの方がほとんどです。
日頃からスキンシップを心がけ、何か気になることがありましたらお気軽にご相談ください。