最近、15歳前後のワンちゃんネコちゃんを診る機会が増えています。
主観ですが、ワンちゃんネコちゃんの寿命は10年前と比べて1~2年くらい延びているように思います。
それに関連して、けいれん発作を起こす高齢の子が増加しています。
けいれん発作の原因は脳腫瘍、脳炎、脳出血など様々です(『てんかん』という有名な病気がありますが、高齢の子が新たにかかることは少ないです)。
MRI検査を行えば診断できますが、全身麻酔が必要です。
10歳を越えると麻酔の危険性も高まりますが、治療方針が定まるメリットは非常に大きいです。
こちらは専門病院に依頼して撮影した、脳炎と脳腫瘍の子のMRI画像です。


脳炎の子は免疫抑制剤という薬を使用するなど、症状が似ても治療は大きく異なります。
高齢の子がけいれん発作を起こしてしまったとき、何歳までならばMRI検査を行うべきでしょうか?
発作の原因が分かっても、全身麻酔を理由に命が短くなったら意味がありません。
一方で麻酔を恐れて診断できないと、正しい治療ができずに苦しい状態を長引かせてしまうかもしれません。
全身麻酔を行う判断基準はどこにも書かれておらず、いつも悩みます。
目の前の子、ひとりひとりの病気に真剣に向き合う。
獣医師として当たり前のことを繰り返し実践することで、その正解が見えてくるのだと思います。